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松下響の天輪返し

レビュー : 飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』―

ソロモンよ(中略)こんばんは、松下です。
時間の都合で暫くぶりになっておりますが、今年もダンゲロスの季節がやってまいりましたので、張り切ってレビューしてみたいと思います。レビュー対象は架神恭介(かがみきょうすけ)さんの講談社BOX第2弾、「飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』―」です。

基本情報

  • 飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』―
作品概要
作品名飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』―
著作架神恭介(かがみきょうすけ)
販売元講談社
レーベル講談社BOX
作品形式文芸、小説、ライトノベル
流通形態商業
原作es(原案)
原画門脇聡(かどわきさとし)
初出2012年6月2日
対象年齢青年向け

まずパッケージを見てみる

前作でも気になるフレーズ満載だったBOXパッケージ、今回も大層凝っております。

BOXパッケージ

まずは帯のアオリ部分から。

虐殺世界の幕開け――、異能スプラッタ・ミステリ!!

無限の攻撃力と防御力 VS. 勝利を約束された主人公の力!!!
殲滅をかけて殺しあう『転校生』と番長グループ。惨劇と混乱の果てで辿りついた「真実」とは――!?

異能バトルとスプラッタはダンゲロスの基本で、絶妙な伏線と回収も前作の時点で既に出来ていましたが、本作では謎解きを主軸に据えてきています。
そして何より気になるのがいわゆる「絶対無敵の転校生VS絶対勝利の主人公」の部分です。他作品で言うと近年めだかボックスあたりでも主人公補正の理不尽さについて色々と語られていましたが、ダンゲロスでもダンゲロスならではの形で、ミステリという主題に半ば反するテーマとしてこれを織り込んできました。本作の見どころの一つです。
また、ダンゲロスのダンゲロスたる根源的性質というか、魔人たちは殺人犯探しをしながらもそれはそれとして敵は全力で殺すので、そういう意味でも主題に反しかねない性質を持っています。そのため、本当にミステリが成立するのかいささか不安なところがあり、実際途中で少々尺度が怪しくなりかける部分もありましたが、最終的にはきちんと収拾をつけており、何だかんだで架神さんやesさんの構成能力は大したものだと思いました。

表紙と裏表紙には本文の抜粋がそのまま掲載されています。

そう、ここは上空五〇〇メートル。番長グループ一年、魔人愁い崎トリコの能力、『ピーターパン症候群』。彼女は一定の土地を宙に浮かせることができる。
私立天道高校はいま、東京都上空で孤立していた――。

――もしもこれが物語だとするならば……。
果たして今回の主人公は本当に大銀河超一郎なのだろうか?

「小生と共に最強を目指すクワガタはいるか!」

ミステリの舞台となるクローズド・サークル(脱出不能領域)を作る仕掛けであるピーターパン症候群の説明の一節、大銀河超一郎(だいぎんがちょういちろう)が主人公補正を発揮するための条件と思しき記述、そして何より謎の「クワガタ」。これは配置と一人称で分かる通り上部丸囲みの鵺野蛾太郎(ぬえのがたろう)の台詞なのですが、これが本編内容にどう関わるのかパッケージの時点で想像できる人はまずいないと思います。

最後に裏表紙のあらすじです。

「魔人」と呼ばれる異能力者たちが集う私立希望崎学園「番長グループ」が、魔人ゼロを学園方針に掲げる天道高校(てんどうこうこう)に乗り込んできた!
彼らは仲間を殺したという「犯人」の引渡しを求め、ついには一般生徒たちへの虐殺を開始する。
頼れるクラスメート・白金遠永(しろがねえんと)とともに脱出を試みる鈴木三流(すずきみつる)だが、ようやく死地を潜り抜けたその瞬間、学園は上空五〇〇メートルに浮かんでいた……。

つまり本作の主題は謎解きに加えてサバイバルでもあることが分かります。
これについては公式サイトの著者メッセージに記述があり、

今回の狙いは二点。まず一つは、魔人対魔人の戦いがメインとなった前作では描ききれなかった「人間と魔人の戦力差」を表現すること。そのため、今回は魔人ならぬ人間が舞台に多数登場します。

と述べられています。
その通りに、序盤はなかなか絶望的なシチュエーションが描写されています。魔人同士の戦いでも大概即死するのに、これが一般生徒となるとたまったものではありません。

今回の特徴

ダンゲロスというものをもう少し幅広いユーザー層に訴えかけてみる試みなのか、今回結構本気で作風を変えてみたらしく、前作の戦闘破壊学園ダンゲロスと比べて多くの異なる特徴があります。

ページ数半減で気軽に読めるように

書籍実物を見て一発で気付くのですが、物理的な厚みが半分になっています。実際にページ数を確認してみると、前作の戦闘破壊学園ダンゲロスが516ページというポケット辞書並の厚みであったのに対し、今作は半分以下の228ページというまるで普通のライトノベルのような厚みで、随分軽くなっています。ただしお値段は前回1700円+税に対し今回1200円+税で半減とはいかず、やや割高ではあります。
ともあれ、前作はその驚異的厚みのせいで読み始めるのにある種の覚悟が要りましたが、今回は普通のライトノベルを読むくらいの軽い気持ちで読めるようになりました。ボリューム減は前作ファンなどのディープな読者層にはやや物足りなく感じるかもしれませんが、ライトノベル・ダンゲロスを初めて読む読者には適度な分量になっていると思います。

エログロ封印で山の手育ちの清楚なお嬢様が読んでも大丈夫

ページ数半減以上に驚くべき変化として、今作では前作に満ち満ちていたエログロ要素が激減しており、多少作者が我慢しきれずに漏れ出している部分はありますが、ページ減と併せてかなり読みやすくなりました。公式サイトの著者メッセージの続きにはエログロを減らした理由が述べられています。

もう一点は前作『戦闘破壊学園ダンゲロス』に寄せられた数多くのコメント、「面白かったけど人にはオススメできない」を重く受け止め、体液を少なめにした点です。山の手育ちの清楚なお嬢様でもゲロまでは吐くことなく読める作品になっているかと思います。その分、次回作では前作以上に「オススメできない」シロモノを書くつもりですので、まぁ、今作は気軽に楽しんでいただければ、と。

とのことで、今回に限って門戸を広くしてみただけで、やっぱり次回はまた普段通りにエログロ路線で行く模様で安心しました。というのも、確かエログロは架神さんの執筆モチベーションの維持に必要不可欠な要素だった筈で、今回封印して大丈夫だったのかしらということで、これについては月刊ダンゲロス #07(2011年11月号) ダンゲロス漫画化記念インタビューで回答されていました。

Q.以前エログロ抜きではモチベーションが沸かないと仰られていた気がしますが、小説第二段の主なモチベーションは何ですか?
A.この機に乗じなければ、的な。エログロないのでモチベはそんなに続かないから、今回は短いの書きます。ちょっと気を抜くとすぐエログロ書きそうになるのを必死に堪えながら書いてる。

ページが減ったのは読みやすくするためかと思っていたら、単にモチベーションが続かないからというのが大きな理由のようですね。

ところで今回グロ成分が減ったとはいえ、能力者達が一切妥協せず本気で殺し合う「命がライトなノベル」であるライトノベル・ダンゲロスの作風は健在で、それどころか「名探偵あるところ殺人事件あり」の法則との相乗効果か、或いはページ数が減って物理的にも軽くなったせいか、むしろ前作以上のペースで人がSATSUGAIされまくりますので、そういった面での心配はありません。ただ、エログロが減った分だけ前作にあった混沌・狂気成分が大分減っておりますので、もっともっとディープにダンゲロスの本格的な狂気の世界を味わいたい、という場合は普段の路線のものを読んだ方がしっくりくるかもしれません。

ミステリというダンゲロスの新たな一面を見せる

前作バトル路線だったのに今回いきなりミステリ路線になってしまったことについても大きな相違点と言えますが、テーブルトークゲーム版ダンゲロスwikiを見る限り小説化以前の段階でバトル以外のさまざまな路線が試行されています。他にも、紙の書籍にこそなっていませんが、既にダンゲロス・ベースボールという作品も発売されており、つまり今回についても路線変更というよりダンゲロスが内包する違った側面を切り出してきたと言った方が良いかもしれません。

回想が減ってストーリー進行がスピーディーに

本編の進行ですが、前作は現状進行と回想を交互に行うことで伏線を張りつつ、或いは隠された手札を徐々に明かしながらじっくり進むという方式になっていました。これは掘り下げという面においては確かに有効で、最後まで読むとなるほどなーとすっきり終わることが出来たのですが、いかんせんページが莫大な量になってしまい、たびたび回想が挟まるせいでさくさく本筋を読み進められないという難点を同時に抱えていました。
これに対し、今回は回想などは控えめにして現状進行と視点変更を主軸にどんどん進めていく形式に変わりました。脇役クラスのキャラの掘り下げは浅くなってしまいましたが、ページ数が減ったことも手伝ってさくさくと先に進む感触があり、ライトノベル・ダンゲロス入門用としても良い構成になっているのではないかと思われます。
ただ今回の構成にも多少の難点はあって、章立てが40から5に減ったことで検索性が悪くなるという結果を生みました。まあ、どちらかというと今回が普通で前回の章の数が多かったのですが。

舞台は前作の並行世界

世界観設定は基本的には前回と一緒の魔人世界なのですが、全くの同一世界というわけではなく、前回説明された転校生の世界から見て無数にある並行世界の一つ、ということになっています。
前作に登場していた夜夢(よるむ)アキラや範馬慎太郎(はんましんたろう)が引き続き登場していますが、彼らも並行世界の同一人物という扱いのようです。

表紙・挿絵のイラストレーター交代、挿絵増量

他に、イラスト担当が左さんから門脇聡さんになっています。個人的には左さんの絵柄の方が好きですが、新しく作画監督の門脇さんを引っ張ってきたというのが侮れません。架神さんにはこの調子でどんどんミラクルを起こして行っていただきたいと思います。
尚、全体のページ数は516→228で半分以下に減りましたが、挿絵はむしろ倍以上に増えて、4枚→11枚となっています。勿論過剰なエロやグロはありません。

TSF該当作ではなくなった

単にこのレビュー記事における扱いの違いですが、前作では主人公の能力からTSF該当作となっていましたが、今作では性転換要素が登場しないため、カテゴリや記事タイトル接頭辞を「TS/TSFレビュー」から「レビュー」に変更しています。

適度に整理されたキャラ

前作では50人を超えるネームドキャラがところ狭しと暴れまわっておりましたが、今作ではページ数半減に伴いネームドキャラも適度に減って25人程度となっております。
しかし本作には利便性という面での難点が一つあります。登場人物の名前が個性的なのは良いのですが、今回は個性的すぎて読みづらく、その割に人物紹介に読み方の記載が無くて、作中で最初に登場する部分だけに振り仮名が振ってあるのです。そのため、名前が覚えづらいキャラが登場するたびに「このキャラの初登場シーンはどこだ」と何度も探す羽目になりました。これは次回何とかしてほしいところです。
そういうわけで、補足として以下の紹介画像に名前と読み方を記載しておきますので、読み方に迷った場合にご活用ください。

飛行迷宮学園ダンゲロス表紙

上の画像が表紙(+名前紹介)です。前回が熱血バトル路線の炎燃え盛る表紙だったのと比べ、今回は曇り空で彩度が低めのいかにもミステリといったカラーバランスになっています。また、表紙に主人公がいるところも相違点です。
表紙で特に目立っているのがいかにも少年漫画の主人公のような風貌の大銀河超一郎(だいぎんがちょういちろう)と大正名探偵のような風貌の鵺野蛾太郎(ぬえのがたろう)
若干意味は異なりますが、本作は『主人公』対『名探偵』という対立構図が重要な要素になっています。一番奥に『蠍座の名探偵』が顔を隠して描かれており、その正体は終盤まで謎に包まれています。

飛行迷宮学園ダンゲロス挿絵1

丁度希望崎学園番長グループの大半が揃った挿絵がありますので、こちらも名前付きで紹介します。
世紀末ファッションのハートさんのようなモヒカンがまだなんぼかまともな人間に見えるという時点で激しくカオスな状態ですが、この13名が天道高校に押し掛けたスターティングメンバーです。学生の中に動物が混ざってる、というのはクロマティ高校あたりで既に使われているネタですが、それどころか戦車と一体化した人間さえいます。その名も片平大砲(きゃたぴらかのん)、能力は『体感巨砲主義(たいかんきょほうしゅぎ)』で、戦車が性的に大好きなあまりに戦車と一体化して年中性的快感を得ているといういかにもなダンゲロスキャラです。彼女には今回のベストネーミング賞を差し上げたいと思います。
片平大砲(きゃたぴらかのん)の他にも大銀河超一郎(だいぎんがちょういちろう)あたりかなりのカリスマ主人公っぷりだと思いますが、それもそのはず、「最強っぽいキャラの名前を考えろ、最強だと思った人の分だけ肉を食わせてやる」というテーマのもとに生まれた奇跡の名前なのだそうです。
この13名の面子の中で副番長の真野五郎(まのごろう)はそこそこ重要キャラなのでいいとして、何故か特に重要でないポイズンジャイアントパンダも表紙に出ていて、しかもパンダの方に丸囲みがあり、その上BOXパッケージにまで記載されています。まあ何故かとは言っても表紙にセーラー服のパンダがいたら手に取った人が「これは何だ」と興味を惹かれることもあると思いますし、恐らくそういったツカミとして機能しているのではないかなあと勝手に思っています。片平大砲(きゃたぴらかのん)もこっそり表紙にいますが、パンダの土台になっている戦車部分が見えるだけで顔は出ていません。

ちなみに前作の『転校生』であったユキミさんムーさん黒鈴さんがそうであったように、今回のヌガーさんも架神さん周辺の実在の人物のハンドルネームです。ただしチグリスに関しては新しく作った名前のようです。
他にも、過去に超一郎に撃退された名前もわからない『転校生』というのがいますが、あっさり魔人に撃退される『転校生』といえば、前作も同じポジションだった鏡介のことではないかなあと勝手に思っています。

第三次において鏡介は、戦術的に圧倒的不利である生徒会にとっては最後の切り札、番長グループにとっては大いなる脅威と目されていたが、実際のゲームでは登場直後に殴られて瀕死となり、そのままゲーム終盤まで放置。両陣営から冷笑された。番長グループの勝利が決定した後、プレイヤーからは「転校生がかわいそうになってきた」「殺すことは簡単だが、むしろ生かして帰してあげよう」「お土産に鏡子で抜いてあげようか」などという話が出てきて、結局、転校生は殴られて瀕死になった挙句、鏡子に股間をまさぐられておうちに帰ることとなった。これにより「転校生=ヘタレ」という印象がプレイヤーの中で根付き、以降、凶悪転校生「野獣牛兵衛」の登場まで転校生が脅威と認識されることはなかった。
鏡介はその後もヘタレの代名詞として事あるごとに取り上げられ、プレイヤーキャラ、転校生として複数回登場。外伝やTRPGでの登場もしばしばで大抵はロクでもない目に遭っている。

絶対に知っておきたい魔人10選より抜粋

見どころ目白押しのダンゲロス・ミステリ

本作では主題となる殺人事件の犯人探し以外にも幾つもの謎が絡み、それぞれが大きな見どころとなっています。
以下では、「クワガタ」の件を除き最終的な解答には触れませんが、中盤~終盤あたりの重要な情報に触れますので、内容の一部を非表示にして記述します。

白金遠永(しろがねえんと)」とは

まず、「白金遠永(しろがねえんと)」とは何者なのか。

以下の部分にネタバレを含むため、内容を非表示にしています。閲覧をご希望の方は、お手数ですが下の「内容を表示」ボタンをクリックしてご覧ください。

なお、本編の内容とは全く関係ありませんが、白金遠永(しろがねえんと)という名前はダンゲロスプレイヤーの白金(しろがね)さんとENT(エント)さんを組み合わせて作られたものだそうです。

「報酬」と「告白」

前作同様、『転校生』を召喚するには任務完了後に人間一人を「報酬」(≒生贄)として差し出さなければならないわけですが、果たしてその「報酬」は一体誰なのか、それ以前にシンリ達4人の本当の愛憎関係は一体どうなのかといった謎があります。
中学時代は仲の良かった4人のうち、天道高校に進学した鈴木三流(すずきみつる)[男]、白金遠永(しろがねえんと)[男]、南崎(みなみざき)シンリ[女]。一人だけ希望崎学園に進学した静夜宮夢路(しずよみやゆめじ)[男]。
中学時代の最後に静夜宮夢路(しずよみやゆめじ)南崎(みなみざき)シンリに告白したことによって4人の関係は変質し、高校進学を経て最終的に今回の事件へと繋がっていくことになります。

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「クワガタ」

蛾太郎「小生と共に最強を目指すクワガタはいるか!」
というBOXパッケージの一文が強烈な謎臭を放っていますが、この台詞は今作中盤の122ページに登場します。

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『主人公』対『名探偵』

そして遂に姿を現す伝説の番長・大銀河超一郎(だいぎんがちょういちろう)。絶対勝利の力、主人公補正をその身に受ける『ヒロイズム』という魔人能力を引っ提げて、物理無敵の『転校生』鵺野蛾太郎(ぬえのがたろう)との一騎討ちを演じます。

以下の部分にネタバレを含むため、内容を非表示にしています。閲覧をご希望の方は、お手数ですが下の「内容を表示」ボタンをクリックしてご覧ください。

最初に言ったことが一番大事

「最初に一番重要なことを述べる」というのが架神さんがよく用いる手法ですが、今回も例に漏れず効果的に使用されています。前回のような1行のエピグラフではなく2ページにわたる「はじめに」という文面が提示されています。

「ミステリの世界へようこそ!
 皆さまがこれから足を踏み入れるのは、『殺人事件』『被害者』『犯人』『クローズド・サークル』、そして何より大切な『名探偵』に彩られるミステリの世界です。多くの登場人物たちが、嘆き、悲しみ、怒り、錯綜する感情の中で謎を追い、ある者は新たな事実に気付き、ある者は途中で(たお)れながらも、確実に事件の真相へと近付き、見事、『犯人』とその思惑を暴いてくれることでしょう。途中、回り道に見えるエピソードも、不必要に思われる人物もいるかもしれませんが、全ての人達には等しく役割があります。一見犬死にに見えようとも、一人一人が僕のミステリを構成するための大切な登場人物なのです。
 ですが、もちろん何にも増して大切なのは『名探偵』です。『名探偵』がいなければミステリの世界が幕を開けることも決してありません。『名探偵』は、探偵がその役に()くのが一般的ですが、とはいえ、探偵のみが『名探偵』である必要もありません。刑事であれ、小学生であれ、家政婦であれ、いえ、その場に居合わせただけのただの一般人であっても、名探偵たりうる知性と立ち位置を備え、事件を解決に導くのであれば、それは立派に『名探偵』なのです。『名探偵』に始まり『名探偵』に終わる。ミステリとは、実は『名探偵』のためにこそ(つづ)られる世界なのかもしれませんね――。
 おっと、前置きが少し長くなってしまいました。僕の退屈な独り言に、これ以上、皆さまをお付き合いさせるのも申し訳ありません。皆さまとは、最後の方でもう一度お会いすることになるでしょう。それまで、(しば)しの、お別れ……。
 それでは皆さま。心の準備はよろしいですか? 行きますよ。
 虐殺の世界の幕開け――、

『蠍座の名探偵』
 スタートです!」

この文面、一見すると今回ガラッと作風を変えたダンゲロス・ミステリ編の前口上のようにも見えますが、その割には『名探偵』というフレーズが過剰に連呼されています。これは今回の最重要フレーズに違いありません。更に気をつけて見てみると、序文全体が「鍵括弧」で括られていることが分かります。では、『名探偵』こそが最も大事であると念を押す発言主は一体誰なのか。
そして『蠍座の名探偵』とは一体何のことなのか。登場人物一覧を見る限り、蠍座生まれは10/26の鈴木三流(すずきみつる)、11/20の白金遠永(しろがねえんと)、11/4の(うれ)(ざき)トリコ、10/27の森園(もりぞの)モリオ、そして11/3の鵺野蛾太郎(ぬえのがたろう)が該当します。

以下の部分にネタバレを含むため、内容を非表示にしています。閲覧をご希望の方は、お手数ですが下の「内容を表示」ボタンをクリックしてご覧ください。

新勢力

ダンゲロスシリーズを通じた流れについてですが、前作では『転校生』の世界と「識家」についてある程度の説明があり、今回更にそれが掘り下げられたことで、その識家に対抗する新たな勢力、「スズハラ機関」の存在が仄めかされます。この調子で掘り下げが進むと、次回かその次あたりでは現在水面下で動いているスズハラ機関と『転校生』との抗争が本格的に扱われるかもしれませんね。
…と思っていたら、飛行迷宮学園発売以前の月刊ダンゲロス #07(2011年11月号) ダンゲロス漫画化記念インタビューで既に回答されていて、どうやら5作目あたりで衝突するようですね。

Q.識家とスズハラ機関ってかがみさんのなかではどっちが強いんですか?
A.そのへんは小説第五作目で書く予定。

なお、2010年3月20日の架神さんの日記では、スズハラ機関について以下のように説明がなされています。

※スズハラ機関:誰かが突然言い出した謎の秘密結社。ダンゲロス世界で暗躍しているらしい。特に決まった設定があるわけではないので、みんなで適当に設定を追加しながら育てている。

同様に、月刊ダンゲロス #07(2011年11月号) ダンゲロス漫画化記念インタビューでは以下のように述べられています。

Q.スズハラ機関ってどの程度の規模なの?
A.オレが教えて欲しいよ……!

このスズハラ機関がどのようなものなのか、5作目までにどう育つのか、作者自身にすら予想がついていないようで、それを最終的にどうまとめるのか今から楽しみです。

些細な突っ込み

教室の2階や3階から校門あたりにたむろしてる集団に注目すると、必然的にその外側の道が無い=敷地が浮いていることに気付くと思うんです。

総評

前作の「面白いけど人に勧められない原因」となっていたエログロ要素をあらかた封印し、言わば作者が本気を出せない状態であるにも関わらず、それでも読みごたえのある内容として、しかも前作より読みやすく作られています。そのおかげでダンゲロス固有の濃さが多少薄まってしまっている感はありますが、その濃さも勧められない原因に入りかねないものでしたので、今回に関してはむしろ良い方向に作用するのではないかと思います。
独特の世界観や魔人の境遇についても前作ほど詳細ではないものの十分に説明されてますし、ダンゲロスの最初の一冊として勧めるのに無理のない内容となっているのではないでしょうか。ミステリとしても良く出来ていると思いますが、いかんせん私はミステリ小説を殆ど読まないので、これについては私の評価を当てにしない方が良いかもしれません。

なお、人に勧める場合を抜きにして個人的な感触はどうかというと、前作ではグロ要素が濃すぎ、今作ではエロや狂気の要素が若干薄いので、両者の中間あたりの作風も一度読んでみたい気がします。また、今回もキャラは十分に個性的ですが、前作に比べると明らかな狂人が少なく、鏡子さんレベルまで愛着の湧くキャラもいないように感じられました。
以上をもちまして、以下の評点を奉納いたします。

満足度 885/1000

前作と比べるとミステリ要素でプラス、グロ軽減でプラス、キャラ不足(というより前作がすごすぎた)でマイナス、バトル不足でマイナス、エロ・狂気・悟り不足でマイナスとして合算した結果、僅差で前作が上といった評点ですが、それでも毎回コンスタントにこのレベルの点数が出るというのは驚異的なことです。
今年も大変楽しませていただきました。

なお、レビューが久しぶりになるのでこれまでのレビューを一覧してみたところ、評点の分布がやや高い方に偏っていたので、全体的に50点ほど低い方に分布が広がるように微修正しました。今後も気まぐれで点数を変えることがあると思いますが、所詮個人の満足度・お気に入り度の話ですので、悪しからずご了承くださいませ。

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響 2nd Seasonテキストサンプル

こんばんは、松下です。
近頃進捗報告が滞っていますが、当サイトの制作中TSF作品「響 2nd Season」のプロローグから序盤にかけてのテキストが一応の体をなしてきましたので、作風のサンプルとして公開しておきます。

  • 暫定の内容であるため、最終的に作品公開されるものとは大きく異なる可能性があります。
  • 最終的にADV形式に落とし込む予定ですので、小説形式と台本形式の中間のような体裁になっています。
  • 性行為の内容は脱衣3回、自慰1回、前戯2回、疑似性交1回だけです。まだ本番に至っていません。
  • 内容は18禁ですが、テキストのサンプルなので、絵が全くついていません。
  • まだ序盤ですが、文章量が8万文字ほどあります。この時点で一般的なライトノベル1冊の8割程度の長さです。

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レビュー : 彼女は高天に祈らない -quantum girlfriend-

こんばんは、松下です。
今回は引き続きエスクードの水鼠さん原画ゲーム、「彼女は高天(そら)に祈らない -quantum girlfriend-」の紹介をしてみたいと思います。英雄×魔王から本作までの間にファンディスク含めて他に3本ほどエスクードの水鼠さん原画ゲームがあり、紹介の順番が前後してしまうのですが、折角の新発売ゲームなので今のうちにやっておきたいと思います。

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レビュー : 英雄×魔王

こんばんは、松下です。
用意に大分時間がかかりましたが、今回は予定通り、水鼠(みずねずみ)さん原画の商業ゲーム第1弾、「英雄×魔王」のレビューを行います。
印象はともかく内容を正確に覚えてなかったのでスクリーンショット収集がてらもう1周してみましたが、案の定丸一日かかりました。フルプライス作品だけあって、なかなかのボリュームです。

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レビュー : 水鼠さんのミニゲームシリーズ

こんばんは、松下です。
本日のレビューは特定の作品や一貫したシリーズではなく、水鼠さんが同人で発表されていた一連のミニゲームについて触れたいと思います。
何故今なのかというと、水鼠さん原画の新作エロゲが近日発売なので、今のうちに過去作品のレビューをやっておこうかなと。

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TS/TSFレビュー : 目覚めたら、ボクが可愛い女の子

こんばんは、松下です。
後がつかえてますので、本日は続けてもう一作紹介してみたいと思います。
今回紹介する作品タイトルは「目覚めたら、ボクが可愛い女の子」。18禁TSFです。

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TS/TSFレビュー : カドゥケウスの呪い

こんばんは、松下です。
このところあまりレビューをしていなかったのでレビュー候補が色々と溜まってきておりますが、試しに数えてみたら30件を軽く超えていたので、無理が無い程度にぼちぼち消化していきたいと思います。
さて、今回のレビュー対象は「カドゥケウスの呪い」です。前回の逆転!武塞学園~女体化副番長~に続き、同人18禁TSFです。カドゥケウスの呪いは2005年の発売以来DLSiteで販売数が4千を超えており、同人TSFでは結構有名な部類に入る作品だと思います。

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TS/TSFレビュー : 逆転!武塞学園~女体化副番長~

こんばんは、そろそろ忘れられてそうな気がしますが、TSF愛好家兼TSキャラの松下です。
またしばらく空いてしまいましたが、久しぶりにコレだというTSF良作を発掘したので、レビューをかましてみたいと思います。
タイトルは「逆転!武塞学園~女体化副番長~」、同人エロゲです。

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V-Ray 2.0 GPUレンダリングの問題解消とその実行速度について

こんばんは、松下です。
前回新PC Roheisen4でV-Ray GPUレンダリングが動かない、と書きましたが、その原因が判明しましたので報告いたします。
思い当たる節を一つ一つ確認してみたところ、Virtuのせいではなく、グラフィックカードとIntel HD Graphicsの併用のせいでもなく、GPU世代の混在が原因でもなく、QuadroとGeForceの混在が原因でもなく、最終的に単にQuadro CXの最新ドライバ275.89が駄目なだけでした。これを一つ前の267.66に入れ替えてみたところ、あっさりGPUレンダリングが走るようになり、それから他の条件も全部元通りにしましたが何の問題もありませんでした。

というわけで無事動くようになりましたので、各グラフィックカード、CPUを用いてレンダリング実行速度を記録してみました。

CPU/GPU レンダリング時間 処理速度(※1) 最大消費電力 処理速度/最大消費電力
Core i7 920 140秒 714 130W 5.49
Core i7 2600K 119秒 840 95W 8.85
Quadro CX 88秒 1,136 150W 7.58
GLADIAC GTX 285 (推測値)(※2) 55秒 1,813 183W 9.91
GLADIAC GTX 560 Ti 41秒 2,439 170W 14.35
Quadro CX + GLADIAC GTX 285 40秒 2,500 333W 7.51
Quadro CX + GLADIAC GTX 560 Ti 33秒 3,030 320W 9.47
GLADIAC GTX 560 Ti x 2 (推測値)(※2) 24秒 4,134 340W 12.16
  • ※1 : 処理速度
    処理速度はレンダリング時間の逆数となるため、
    [処理速度] = 100,000 / [レンダリング時間]
    として計算。10万というのは単に結果の桁数が丁度良くなるようにしたもの。
  • ※2 : 推測値
    [Quadro CX + GLADIAC GTX 560 Tiの処理速度] = ([Quadro CXの処理速度] + [GLADIAC GTX 560 Tiの処理速度]) x 0.848
    となったため、デュアルGPUレンダリング時の処理速度は合計処理速度の84.8%程度になると仮定し、他の実測結果から算出したもの。

結局のところ、現在銑鉄計画(ローアイゼン・プロイェクト)の制作環境に存在するCPUやGPUの中では実行速度も電力効率も最新世代GPUであるGTX 560 Tiが圧倒的という結果が出ました。
ただしレンダリングが速いとはいえ、GPUレンダリングにはV-Rayネイティブのエレメント以外はレンダリングに反映されない、VGAそれぞれのメモリにシーンデータが入りきらないとレンダリングできない、といった面倒な制約があります。そのため、設定を詰める手間を考慮するとCPUレンダリングを使った方が早いという場合もあります。
また、今回のレンダリング結果の影のあたりを見るとGPUレンダリングの方が大分粗いので、同等の品質になるように調整した場合はもっと差が縮まるものと思われます。
Core i7 920とCore i7 2600Kで大した差が出てない点については、Core i7 920の環境ではメモリがトリプルチャネル動作でPC3-10600 x 3 = PC3-31800相当であったのに対し、Core i7 2600Kではデュアルチャネル動作でPC3-12800 x 2 = PC3-25600相当となっているところが少なからずボトルネックになっているのではないかと推察されます。
調達価格が20万円近いQuadro CXの処理速度スコアが同世代のGLADIAC GTX 285と比べても振るわない件については、やや残念感がありますが、そもそもQuadroというのはCuda/OpenCL処理に最適化されたものではなく、OpenGLインターフェイスの動作を正確に行うためのものですので、この結果も致し方なしと言ったところです。むしろそこを補う役目も兼ねてGLADIAC GTX 285を併設していたので、それでスコアが倍以上になれば意図通りであるとも言えます。

なお、以前VRay 1.5の時にCore i7 920で同じメモリを搭載して同一内容のレンダリングを行った際、現在の140秒よりも大分早い80秒という記録が出ているのですが、これが3ds MaxやV-Rayのバージョンの違いによるものなのか、一部テンプレート画像の欠落に起因する余分なエラー訂正によるものなのか、或いは2年前の測定後にレンダリング品質設定を変更したのをすっかり忘れているのか、判然としていません。

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銑鉄計画開発環境2011

こんばんは、またしてもご無沙汰しております松下です。
作者の仕事が立て込んだりして案の定開発が滞っていますが、先日銑鉄計画(ローアイゼン・プロイェクト)メインPCの修理のついでにサーバーなども含めた開発環境の大幅更新があったので、代理で報告でもしてみたいと思います。

メインPC

まずは仕事用・製作用・趣味用を兼ねているメインPCです。2003年以降、名称は基本的に"Roheisen(ローアイゼン)[世代ナンバー]"としています。
下の表で左端の"Roheisen4"が最新の仕様で、右に行くほど世代が古くなります。こちらでの紹介は初めてなのでRoheisenから4世代掲載してみました。
つまり現在はRoheisen4なのですが、実はRoheisen3でも性能的にはまだまだ問題ありませんでした。しかし近頃Roheisen3が一日に何度もフリーズを繰り返すようになり、別HDDにOSを再インストールしても症状が改善しなかったので修理がてらRoheisen4へとアップデートを行うことになりました。
結局のところ故障の原因はファンコントローラの不調からファンの回転数が通常の1/5程度までしか上がっていなかったために熱がたまってどこかしらがやられたということのようでした。故障個所はHDD以外の何かであることはわかりましたが、一つ一つ代替品を買って試すのは費用も時間も無駄なので、思い切ってそのあたりを一気にアップデートすることになりました。

ところで机の上がほぼ黒一色で統一されているのはカラーコーディネートというわけではなく、ディスプレイに映り込んで色調整に影響するのを避けるためです。タブレットだけ派手な銀色ですが、どうも買い替えるほど使ってないのでそのままになっているようです。

名称 Roheisen4 Roheisen3 Roheisen2 Roheisen
外観 Roheisen4 Roheisen3 Roheisen2 Roheisen
用途 メインPC メインPC
→故障
メインPC
→2代目サーバー
→打ち合わせ用
→故障
メインPC
→初代サーバー
→退役
ベース 自作 自作 hp xw4300/CT 自作
OS Windows 7 Ultimate 64bit Windows Vista Business 64bit & Windows Vista Home Basic 32bit
→Windows 7 Ultimate 64bit & Windows Vista Home Basic 32bit
Windows XP Professional 32bit Windows XP Media Center Edition 32bit
Roheisen3でわざわざVistaの32bitとデュアルブートにしていたのは、フォントのインストーラが64bit対応してないために全く動かないという深刻な問題を「フォントのファイルを他のPCに移動してはいけない」というライセンス条項に抵触せずに解決するための対策です。つまり
Vista 32bitでインストーラを使ってフォントを入れる→同PCの64bit領域にフォントファイルを移して手動インストールする
というわけです。念のためフォントメーカーのサポート担当の人に確認したところ、ライセンス上問題ないと言ってたそうなので大丈夫です。
Roheisen4ではマザーボード交換の影響で以前インストールしたVista 32bitが動かなくなってますが、フォントファイルがVista用HDDに残っていたのでそこからフォントだけサルベージしてインストールしています。
筐体 COOLER MASTER COSMOS RC-1000-KSN1-GP E-ATXフルタワー COOLER MASTER COSMOS RC-1000-KSN1-GP E-ATXフルタワー xw4300標準 ATXミドルタワー 頂き物のATXミドルタワー、詳細不明
ロングサイズのVGAを使用するために容積に余裕があるものを選んだ結果、フルタワー筺体に普通のATXマザーボードを搭載するという形態になっています。
しかしこのCOSMOS、容積に余裕があるだけあって組み付けは比較的やりやすく、上下にハンドルが付いているため取り回しのよさもなかなかのものです。
世代的にUSB3.0やSATA3に対応した前面インターフェイスはありませんが、天板前端斜め向きに各種インターフェイスや電源・リセットボタンが付いていて便利です。
デザインもなかなか良く、フラッグシップPCとしての存在感があります。
冷却は吸気ファンの設置スペースが少ないという問題がありますが、前面5.25インチベイを3段潰して設置すれば何とかなります。
最大の問題はやはり、結構値が張るということでしょう。
マザーボード ASRock Z68 Extreme4 ASUS P6T WS Professional Intel 955X Express Intel D865PERLK

マザーボードはビデオカードを2枚挿す必要があるので、メモリのクロックアップも兼ねてASRock Z68 Extreme4に決定。Core i7 2600Kとの併用で、やろうと思えばオーバークロック環境ができるわけですが、むしろオーバークロック用部品の耐久性を見込んで定格運用で長寿命を狙っています。
Z68 Extreme4はx16形式のPCI-Expressスロットが3つありますが、Z68の限界のためか、x16を2つ使うと1スロットあたりx8の速度になってしまいます。そこが少々残念ですが、元々x16はオーバースペックなくらいですので、x8モードでも実用上は特に問題なさそうです。

CPU Intel Core i7 2600K Intel Core i7 920 Intel Pentium 4 650 3.40GHz Prescott-2M Intel Celeron 2.40GHz Northwood-128K
演算性能 16,357 8,097 1,146 不明
折角のアップデートですので、CPUをCore i7 920からCore i7 2600Kにしました。計測方法にもよりますが、演算処理能力がおよそ倍になるらしいです。しかも結構安いのでついうっかりサーバーもこれに替えてしまおうと考えてしまっても無理はないでしょう。
メモリ DDR3 PC3-12800 16GB (Kingston KHX1600C9D3X2K2/8GX x2) DDR3 PC3-10600 12GB (Kingston KVR1333D3N9K3/6G x2) DDR2 PC2-5400 ECC CL5 3GB (default512MBx2 + Transcend 1GBx2) DDR PC-3200 CL3 2.5GB (no brand 1GBx2 + 256MBx2)
メモリはPC3-12800を16GB搭載。近頃メモリがお安いことですし、8GBでは足りない状況が発生することが分かってますので、余裕を持ってRoheisen3より更に4GB増やしました。トリプルチャネルではなくなるのが少々残念ですが、まあ致し方ないところでしょう。
メモリでコストをけちるとシステムが不安定になって痛い目にあうので、近頃はなるべくキングストンを選ぶことにしているようです。メモリチップがエルピーダなら大当たりですね。
ストレージ HGST Deskstar 7K1000.C HDS721010CLA332 (1TB SATA2 7200rpm)
+ Western Digital Caviar Blue WD5000AAKS-22A7B2 (500GB SATA2 7200rpm)
+ HGST HDP725050GLA360 (500GB SATA2 7200rpm)
Western Digital Caviar Blue WD5000AAKS-22A7B2 (500GB SATA2 7200rpm)
+ HGST HDP725050GLA360 (500GB SATA2 7200rpm)

Seagate Barracuda 7200.11 ST3500320AS (500GB SATA2 7200rpm)
+ Maxtor 6V250F0 (250GB SATA2 7200rpm)
SAMSUNG 80GB IDE 5400rpm
+ Maxtor 120GB IDE 7200rpm
Roheisen3以降、ほとんどのファイルはファイルサーバーに保存してますので、メインPCのストレージはOS領域+テンポラリ領域程度のもので間に合っています。HDDが複数あるのは、Vista 32bitのDSP版をHDDとセットで調達したり、HDD故障を疑って新しくOS領域を用意したりしたためです。
また、システムが安定していれば頻繁に再起動をしないので、SSDである必要もありません。
光学ドライブ IO DATA BRD-SP8B IO DATA BRD-SP8B HL-DT-ST RW/DVD GCC-4482B DVD combo 48X
+ CD-R 4X
松下OEMの信頼性の高いブルーレイドライブを搭載していますが、実は未だにブルーレイディスクを入れたことが無いという勿体無い代物です。
今時データのやり取りなんて、大半がネットワーク越しかUSBメモリで済みますからね。
FDD none none xw4300標準 MITSUMI FA404M-USB2.0
VGA ELSA Quadro CX (PCI-Express GDDR3 1.5GB)
+ ELSA GLADIAC GTX 560 Ti 1GB (PCI-Express GDDR3 1GB)
+ Intel HD Graphics 3000
ELSA Quadro CX (PCI-Express GDDR3 1.5GB)
+ ELSA GLADIAC GTX 285 1GB (PCI-Express GDDR3 1GB)
ELSA Quadro FX 1400 (PCI-Express DDR 128MB) SAPPHIRE ATLANTIS RADEON 9600 PRO (AGP 128MB)
VGAは省電力化、性能向上、世代更新、予備調達などの事情を勘案してGLADIAC GTX 560 Tiを調達しました。ELSAを選ぶと他のメーカーより1割~2割くらい値段が高いのですが、Quadroとの兼ね合いがあり、またメーカーサポートが手厚いので、基本的にELSAを選んでいる模様です。
ただQuadroとGLADIAC(GeForce)の混在使用は実はELSA製品同士でも保証対象外になるので要注意です。
※ドライバインストール時に互いのファイルがいくつか上書きされることがあります
サウンド ASUS Xonar DX ASUS Xonar D1
※隣のQuadro CXの熱で機能停止
ASUS Xonar DX
onboard YAMAHA XWAVE-6000
Roheisen3ではXonar D1をQuadro CXの隣のPCIスロットに挿していたら熱で完全に死んでしまったので、もうひとつ離れたPCI-Express x1スロットに合うXonar DXを買いなおしたという経緯があります。
現在のRoheisen4ではPCI-Express x1スロットがPCI-Express x16スロットの隣にあるのでまたこの問題が起こるのではないかと思われましたが、どういうわけかVGAの発熱がほぼ完全になくなったので、必然的に問題が解決しています。
LAN onboard Broadcom BCM57781 (1Gbps) onboard 2 x Realtek 8111C PCIe Dual Gigabit LAN controllers (1Gbps) onboard (1Gbps) onboard (1Gbps)
冷却装置 Scythe SCKBT-1000 KATUBO
+ XINRUILIAN RDL1225S-PWM x5
+ Scythe SCKB-1000SL 鎌平(シルバー)
+ ainex FM-05(温度計測のみ)
+ 電源ファン
Scythe SCZP-2000 ZIPANG 2
+ XINRUILIAN RDL1225S-PWM x5
+ Scythe SCKB-1000SL 鎌平(シルバー)
+ ainex FM-05
+ 電源ファン
Pentium4標準CPUクーラー
+ 標準12cmファン
+ 電源ファン
Celeron標準CPUクーラー
+ 電源ファン

Core i7標準CPUクーラーは結構うるさいので、他のメーカーのCPUクーラーを搭載することにしています。今回サーバーをATXにすることでクーラーが一つ足りなくなったので、新しくKATUBOを調達しました。KABUTOは以前のZIPANG 2とほぼ同形式のトップフローファンですが、ZIPANG 2よりわずかに取り付けやすくなった感があります。また、ヒートシンクがメモリに覆いかぶさっておらず、交換が容易になっています。

吸気が少ないというCOSMOSの問題を何とかするためにRohseisen3の時点で鎌平が必要になったものの、時期的に折悪くブラックの在庫が全滅していてどうにもならなかったので、諦めてシルバーを購入してガンダムマーカーで黒く塗ったそうです。

ファンコントローラは、「前面扉を阻害する出っ張りが無い」「1ベイ以内に収まる」「温度に応じて回転数を自動制御」「PWM対応」「ファン5つを取り付け可能」という条件に見事にマッチしたFM-05を設置していたのですが、デザインの悪さは蓋で隠れるから気にしないとしても、液晶の視野角が狭すぎて座った状態で表示内容を確認できない、そもそもファンコントローラなのに回転数制御が不安定、という致命的な欠陥があり、だましだまし使っているうちに全てのファンの回転数が上がらなくなりシステムの不安定化を招いたという残念な一品です。
その後冷却ファンをFM-05経由ではなく直にマザーボードに繋いでRoheisen3内部を冷やし、OSも新品のHDDにインストールしなおしましたが、それでも日に数回のフリーズは避けられなかったので、やはり熱でどこかやられてしまったのでしょう。
Roheisen4ではFM-05は単なる温度計として設置しています。単にFM-05が安物だったから失敗というのであれば代わりのものを用意するのですが、困ったことに同じ要求条件に見合う代替品が価格帯を上げても見つからず、引き続き冷却ファンをマザーボードに直接繋いでフル回転させている状態です。1700rpmフル回転は結構うるさいので、良いファンコンをご存知の方はお知らせいただけますと幸いです。

電源装置 Seasonic Xseries SS-850KM (850W) Seasonic M12 SS-700HM (700W) DELTA DPS-460CB A (460W) Seasonic SS-400AGX (400W)
最大消費電力 603W 663W 308W 260W

電源は消費電力を再計算してみると余裕がなさすぎたので、700Wから850Wに変更することになりました。電源トラブルになるとこれまたひどい目にあうので、信頼性があって静かな電源ということで順当にSeasonic、そこから電源容量で選んだらフラッグシップモデルのXseries SS-850KMになりました。
これ電源のサイズは普通なのに箱がやたらでかいので一体何が入ってるのかと思ったら、電源本体やケーブルを収納するためのロゴ入り袋、ブランドステッカー、ロゴ入り結束マジックテープなどが入ってて笑わせていただきました。ちょっと付加価値の方向間違ってないかなあとは思うものの、電源自体が真面目に働いてくれれば文句はありません。ただ、変な付加価値という意味ではパッケージで堂々とぱんちらするオリたんのインパクトには負けますね。あれ箱開けると中身は普通のデザインなのが惜しいんですが。

調達費用 98,751円 414,741円 178,500円 不明
修理ついでのアップデートで筺体、光学ドライブ、ビデオカードなどを流用したとはいえ、前回と比べて1/4以下の調達費用となりました。やはり前回はQuadro CXに20万近くかけたのが費用高騰の主要因でしょう。
長所
  • 演算能力がすこぶる高い
  • 性能の割に調達費用がとても安価
  • VGAがほとんど発熱しない
  • Intel HD Graphics 3000併用で5画面出力が可能
  • VGAメモリ容量に余裕がある
  • USB3.0対応
  • SATA3対応
  • 演算能力が十分高い
  • メモリがトリプルチャネルで動作するため非常に高速
  • 4画面出力が可能
  • VGAメモリ容量に余裕がある
  • DVI-Iで2画面出力が可能
  • 3da Max 7が何とか動く
  • 比較的安価
  • Shade 6がとりあえず動く
  • 冷却なしでも平然と動く
  • 埃がたまっても平然と動く
短所
  • ビデオカードを二つ挿すとPCI-Expressがx8モードになる
  • メモリ動作がデュアルチャネル止まりのため、理論上Roheisen3より低速になる
  • 消費電力が大きい
  • 1,700rpmのファンが全力稼働すると結構うるさい
  • 今のところ妥当な自動式ファンコントローラが見つからない
  • V-Ray GPUレンダリングができない(※原因はQuadro CXの最新ドライバでした)
  • USB3.0の前面パネルが無い
  • 調達費用が極めて高い(約半分がQuadro CX)
  • VGAの発熱が極めて大きく、隣のボードが死ぬ
  • 消費電力が電源容量ぎりぎり
  • 1,700rpmのファンが全力稼働すると結構うるさい
  • ファンコントローラの回転数制御が不安定
  • VGAメモリ容量が少ない
  • 稼働音がとてもうるさく、耳障り
  • 防塵フィルタが無く、埃耐性が低い
  • 冷却ファンが電源頼りなので不安
  • 冷却ファンを設置できる箇所がほとんど無い
  • VGAメモリ容量が少ない
  • 冷却ファンが電源頼りなので不安
  • 冷却ファンを設置できる箇所がほとんど無い
表示装置 NEC MultiSync LCD3090WUXi
+ NEC MultiSync LCD2490WUXi
+ NEC MultiSync LCD2490WUXi2
+ NEC MultiSync LCD2490WUXi2
+ NANAO FlexScan LCD HD2452W2
NEC MultiSync LCD3090WUXi
+ NEC MultiSync LCD2490WUXi
+ NEC MultiSync LCD2490WUXi2
+ NEC MultiSync LCD2490WUXi2
MISTSUBISHI Diamondtron M2 RDF223G
+ DELL D1025HT
MISTSUBISHI Diamondtron M2 RDF223G
+ DELL D1025HT

ハードウェアキャリブレーション対応のNEC MultiSyncシリーズにナナオの多機能ディスプレイHD2452を加えた構成となっています。よく考えるとキャリブレーション対応はsRGB基準ディスプレイとAdobeRGB基準ディスプレイの計2枚で事足りるはずなのですが、何故か同シリーズで揃えてしまったため、ディスプレイの合計調達費用は恐ろしいことにRoheisen3本体の調達費用を軽く超えます。

2010年2月頃から発生していたNEC MultiSync LCD2490WUXi2の焼きつき状シミ問題ですが、NECに相談したところ無償でパネル交換していただけました。NEC電話サポートの人がPC部門担当だったのかNEC MultiSync LCD2490WUXi2の存在を全く知らないというのは吃驚でしたが、修理自体は全く問題ありませんでした。
症状の原因について修理担当の方に伺ってみたところ、(液晶なので原理的に焼きつきそのものではありませんが)焼きつきのような症状が発生しやすい液晶パネルのロットに当たってしまったのではないかということでした。うちの2台は半年ほど時期をずらして買い足していますし、製造番号もかなり離れているので同一ロットという可能性は低いと思いますが、まあ何しろパネルはLG製ですから、複数のロットで不具合が発生しても絶対にないとも言い切れません。また、縦に回転して使用していたことについては、ピボット対応機種でありメーカー仕様範囲内のことなので問題はないはずとのことでした。

アーム ERGOTRON LX デスクマウントアーム + サンコー 8軸式ロングくねくねデュアルモニターアーム(基部ポールのみ) ERGOTRON LX デスクマウントアーム none none

Z68ではVGAと同時にCPU内蔵のIntel HD Graphics機能が使えるので、Roheisen4はRoheisen3から更に1画面増やして5画面構成ができるようになりました。流石に5画面だと机の上に置き場が無いので、ERGOTRON LX デスクマウントアームで一つ吊ることになりました。しかしLXアームの基部ポールは長さが30cm程度しかなく、最大の高さまで上げても24インチの上に24インチを置くことができません。そこで色々と情報を調べた結果、サンコー 8軸式ロングくねくねデュアルモニターアームの70cmポールがほぼそのまま使えるという情報に行きあたり、これを調達。本当に無改造でLXアームがはまったので、無事24インチ2段重ねを実現することとなりました。
サンコーの70cmポールは部品単位での販売が無く、結果としてLXアームの30cmポールとサンコーの8軸アーム部分が余ることになったわけですが、LXアームを2本使う場合は同3.5cm径のサンワサプライの支柱2本セット CR-HGFHを買った方が無駄が無くて良さそうです。
なお、写真を見ると70cmポールが少し傾いてますが、これはポールが長くなったことで机のクランプ設置点に以前より強いモーメント力がかかるため、天板破損を避けるべく1cm厚のゴムシート上下2枚をクランプと天板の間に挟んだ結果です。アームを動かす際にゴムの弾力で振動しますが、仕方のないところでしょう。
ただ、やはり高い位置のディスプレイを見上げるのは首や目が疲れるということで、いっそ机の左の外側、はみ出した位置に吊る案も検討していますが、そうなるとスピーカーがうまく配置できないのでまた悩んでいるようです。ちなみにFlexScan HD2452Wは縦配置使用が動作保証外らしいので、右側と同じように立てて並べるのは無理です。

キーボード 東プレ Realforce 91UBK FILCO Majestouch Tenkeyless FKBN91M/JB
※チャタリング発生
→無償修理
東プレ Realforce 91UBK
FILCO FKBN91Z/JB
※チャタリング発生
→貰い物なので諦める
FILCO FKB-109J-X 剣
※水かぶり故障
打鍵感はMajestouchで全く問題ないのですが、Majestouchは比較的安価で打鍵感が良い代わりに結構な確率で故障するので、修理に出した際にメインはRealforceに切り替えて、帰ってきたMajestouchはサーバー管理などに使用しています。
左側にテンキーを置くスタイルのため、近年はテンキーレスタイプのコンパクトキーボードを使用しています。生産数が少ないのか、テンキーを省いたタイプの方がテンキー付きより高いことが多いのが泣き所です。
テンキー 東プレ Realforce 23UB FILCO Majestouch TenKeyPad FKB22MB
※0キーがたびたび取れる
東プレ Realforce 23UB
ELECOM TK2-UE2BHBK ELECOM TK2-UE2BHBK
右手でマウスを操作しながら左手で数値を打ち込むという効率的操作スタイルを実現するための小道具です。元々は3ds MAXのために導入しましたが、Excelなどでも使えて便利です。
キーボードと同じく打鍵感はMajestouchで十分なものの、0キーの固定がゆるくて頻繁に取れるという個体問題があったため、こちらもRealforceに切り替えました。テンキーのくせに高いのが難点です。
マウス Logicool Performance Mouse M950 Logicool MX1100 Corcless Laser Mouse
※カーソル飛び発生(後にOS不調によるものと判明)
Logicool Performance Mouse M950
Logicool MX Revolution Logicool MX1000 Laser Cordless Mouse
※ホイールボタンスイッチ認識劣化
マウスは2010年の時点でLogicool MX1100が不調になったためLogicool Performance Mouse M950になりました。M950は親指ボタンの位置が他より高いのが問題ですが、これは1週間ほどで慣れるようです。他の点については特に問題もなく、なかなか優秀なマウスです。
しかし当時ドライバを入れなおしてもどうにもならなかったMX1100の不調も実はOSの不調が原因だったようで、他のPCで使ってみたら何ともなかったので、この間うちのアレがあまやさんちにお邪魔した時にこれをお土産として置いてきたようです。
ところでこれらのLogicoolフラッグシップマウスに限らず、無線、カスタムボタン付き、フリースクロール機能付きのマウスを使うと作業能率が目に見えて上がる、もしくはPC使用時のストレスが軽減されることがありますので、使ったことない人は検討してみると面白いかもしれません。
タブレット WACOM Intuos3 PTZ-630/S WACOM Intuos3 PTZ-630/S WACOM Intuos3 PTZ-630/S WACOM Intuos3 PTZ-630/S
スピーカー ONKYO WAVIO GX-70HD(B) ONKYO WAVIO GX-70HD(B) ONKYO GX-70AX(W) ONKYO GX-70AX(W)
近所のTWOTOPの店員さんにお勧めされてはまって以来、ONKYO GX-70シリーズを愛用している模様です。本格オーディオほどではないにしろ、1万前後の価格帯でありながらPC付属スピーカーから確実に音のレベルが上がるというなかなかの逸品です。
プリンタ EPSON EP-803A EPSON PM-A920 EPSON PM-A920 none
スキャナ EPSON EP-803A EPSON PM-A920 EPSON PM-A920 none

本体の不調に前後して4年もののEPSON PM-A920複合機が通信不能になったため、以前から必要としていたネットワーク機能を備えるEPSON EP-803A複合機への代替わりを行いました。丁度次の804が発表された直後で、店頭に残っていた展示品の1台を3年保証付き15,614円でゲットできました。803と804の差はカラーバリエーション以外些細なものなので、実に僥倖でした。
ところでEP-803Aではスキャナの方式がCCDでなくなったため、CCD方式のPM-A920に比べて凹凸がある対象のスキャン性能が低下したようですが、うちの用途では特に問題はないようです。それよりもネットワークプリンタとして使えるのでどのPCからでも印刷・スキャンを行えるようになったのが非常に便利です。実は920でもEPSON PA-W11G2無線プリントアダプタを使用すればネットワークプリンタとして使えなくはないのですが、このアダプタがどういうわけか他の機器のIPアドレスを乗っ取ろうとしてローカルネットワークが大混乱するという意味不明の代物で、結局購入当日に即封印したという哀しい思い出があるようですので、大いにせせら笑ってやりましょう。

m-Do! iDesk2 m-Do! iDesk2 サンワサプライ SH-S1670 サンワサプライ SH-S1670
メインで使っているのは、m-Do!のオーダーメイドデスクです。幾分値が張るのは否めませんが、必要なサイズで、すこぶる頑丈な机を作ってもらえます。
その工場がどうやら南相馬市にあるそうで、大変でしょうけれども何とか頑張って頂きたいところです。
サイドデスク アイリスオーヤマ メタルミニ MTO-5508C 樹脂製書類カゴ(詳細不明) 木製カラーボックス(詳細不明) none
樹脂製書類カゴの足が曲がっていつ倒れるかわからない状態になっていたため、キャスター付きで頑丈なメタルラックを導入しました。
サイズに余裕があり、上にスピーカーを置ける強度があるので便利です。
椅子 アーロンチェア ポスチャーフィットフル装備 アーロンチェア ポスチャーフィットフル装備 キッチンテーブルセットの椅子(詳細不明) パイプ椅子(詳細不明)
疲れない事務椅子最高峰の一角、驚異の20年保証で有名なアーロンチェアです。
パイプ椅子やキッチン用の椅子では毎日座り仕事をするとどうしても肩や背骨に疲労が溜まってしまうため、それを改善すべくアーロンチェアを導入しています。やはり高いのが問題ですが、効果は抜群の模様です。

かくしてRoheisen4へアップデートした後はどういうわけかVGAの発熱までピタリと止まって安定動作するようになったのですが、これがマザーボードの違いなのかPCI-Express x16とx8の違いなのか、或いはVGAのドライバの違いなのかははっきり分かっていません。

公開サーバー

次に公開サーバーの更新についてです。
ここで言う公開サーバーとは、外部に対してweb、FTP、Mail、irc、DNSなどのサービスを提供するサーバーです。専用で立てたサーバーの名称は"eisen(アイゼン)[世代ナンバー]"としていますが、型落ちしたメインPCの流用の場合はRoheisen[世代ナンバー]のままです。
つまりRoheisen2までは型落ちしたWindows PCの流用でサーバーを立てており、eisen1以降から専用のLinuxサーバーになっています。また、同時にストレージは基本的に外部接続しないファイルサーバーに分けています。電力や予算の都合があるため、現在のところこれ以上サーバーの役割分担を細分化したり、冗長構成スケーラブルサーバーにしたりする予定はありません。そもそも商用サーバーとして稼働してるわけではないので、たまにメンテで停めるのが前提の運用としています。

さて、今回のアップデートに至るまでeisen1に特にトラブルはなかったのですが、そもそも設計上Core 2 Duoまでしか乗せることを考慮していないEPSON ST120にそれよりTDPが高いCore 2 Quadを載せたため排熱に無理があり、稼働開始以来2年間、ST120が毎日熱にうなされているような様子で忍びなかったので今回代替わり決定となりました。信頼性の高いEpson製とはいえ、このまま続けていればそう長くはもたないと思いますし、うちのような冗長化してないサーバーは故障する前に代わりを用意しないとメンテ停止どころではない事態になってしまいます。そういう意味で、今回は先代のeisen1を緊急用の代理サーバーとしてストックすることとなりました。

ところで前回eisen1の時点ではLinuxの勉強をしながらだったのでサーバーがまともに動くまで実に2箇月の期間を要したのですが、今回のeisen2はその教訓を生かして4日で動くようになりました。次はもっと早くできるようになるといいですね。

名称 eisen2 eisen1 Roheisen2 Roheisen
外観 eisen2 eisen1 Roheisen2 Roheisen
用途 4代目サーバー 3代目サーバー
→予備役
メインPC
→2代目サーバー
→打ち合わせ用
→故障
メインPC
→初代サーバー
→退役
ベース 自作 EPSON Endeavor ST120 hp xw4300/CT 自作
OS Debian GNU/Linux Squeeze amd64 Debian GNU/Linux Lenny amd64 Windows XP Professional 32bit Windows XP Media Center Edition 32bit
筐体 Antec Solo White ATXミドルタワー Endeavor ST120標準 Mini-ITX xw4300標準 ATXミドルタワー 頂き物のATXミドルタワー、詳細不明
筺体は安価で必要十分な機能を備えるAntec Soloを使用しています。デザインはシンプルですが、1万を切る価格の割になかなか造りの良い筺体です。
先代のST120筺体と比べると大きすぎるのが難点ですが、無理に小さくするとコストがかかり、性能に制限がつき、おまけに冷却が難しくなるので、今回は性能優先としました。
マザーボード ASRock Z68 Extreme4 モバイル インテル GM45 Express Intel 955X Express Intel D865PERLK

メインPCと同じマザーボードで揃えました。メモリクロック向上という必要性の他に、自作PCで初期不良に当たるとなかなか原因が特定できず面倒なので、CPUとマザーボードについては同じものを2つずつ用意すればどちらかが初期不良でも交換して試してみれば原因がわかると考えたためでもあります。幸い今回はどの部品も全く問題なく動いてくれました。

CPU Intel Core i7 2600K Intel Core 2 Quad Q9000 2GHz Intel Pentium 4 650 3.40GHz Prescott-2M Intel Celeron 2.40GHz Northwood-128K
演算性能 16,357 4,000 1,146 不明
メインPCと同じCPUで揃えました。Core 2 Quad Q9000からCore i7 2600Kに替えることで、処理能力がまた4倍に上がりました。
このブログも現在はCore i7 2600Kで動いているので、以前よりはいくらか表示応答が早くなっていると思います。
メモリ DDR3 PC3-12800 8GB (Kingston KHX1600C9D3K2/4GX x2) DDR2 SODIMM PC2-6400 4GB (Buffalo D2/N800-2GX2/E) DDR2 PC2-5400 ECC CL5 3GB (default512MBx2 + Transcend 1GBx2) DDR PC-3200 CL3 2.5GB (no brand 1GBx2 + 256MBx2)
メモリクロックがPC2-6400からPC3-12800への変更で丁度2倍になりました。やはり最新のデスクトップメモリは高速です。
それはそうと、8GB=2GBx4の小容量チップ構成より8GB=4GBx2の大容量チップ構成の方が高いはず、という先入観でうっかり2GBx4を購入してますが、今回の場合は4GBx2の方が明らかに安くてスロットにも拡張余裕ができたという、あからさまなミスをやらかしています。
ストレージ Intel 320 Series SSDSA2CT040G3K5 (40GB SATA2 MLC) default (250GB SATA2 5400rpm) Seagate Barracuda 7200.11 ST3500320AS (500GB SATA2 7200rpm)
+ Maxtor 6V250F0 (250GB SATA2 7200rpm)
SAMSUNG 80GB IDE 5400rpm
+ Maxtor 120GB IDE 7200rpm
ストレージは初のSSD採用となりました。残念ながらSATA3には対応していませんが、Intel製ということでそこそこの耐久性、安定動作に期待しています。
ファイルサーバーは別としているため、実際に使用する領域は10GB前後です。
光学ドライブ IO DATA DVR-S7260LE スリムスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込) HL-DT-ST RW/DVD GCC-4482B (x48 CD-RW / x16 DVD-ROM Combo drive) DVD combo 48X
+ CD-R 4X
インストール以外に使い道が無いので、安価で初期トラブルが無さそうな程度のものを選んでいます。
FDD none none xw4300標準 MITSUMI FA404M-USB2.0
VGA onboard Intel HD Graphics 3000 onboard ELSA Quadro FX 1400 (PCI-Express DDR 128MB) SAPPHIRE ATLANTIS RADEON 9600 PRO (AGP 128MB)
サウンド onboard onboard onboard YAMAHA XWAVE-6000
LAN onboard Broadcom BCM57781 (1Gbps) onboard (1Gbps) onboard (1Gbps) onboard (1Gbps)
冷却装置 Scythe SCZP-2000 ZIPANG 2
+ XINRUILIAN RDL1225S-PWM x1
+ XINRUILIAN RDL9025S-PWM x2
+ 電源ファン
標準排気ファン Pentium4標準CPUクーラー
+ 標準12cmファン
+ 電源ファン
Celeron標準CPUクーラー
+ 電源ファン

CPUクーラーはRoheisen3で使用していたScythe SCZP-2000 ZIPANG 2を流用しました。ヒートシンクがメモリスロットを隠しているので交換がやや困難ですが、ぎりぎり通ります。

電源装置 Seasonic Gbronze S12II SS-520GB (520W) EPSON ADP-90SB AB (90W ACアダプタ) DELTA DPS-460CB A (460W) Seasonic SS-400AGX (400W)
最大消費電力 200W 90W 308W 260W
消費電力が200Wに収まったので電源容量は300Wもあれば十分だったのですが、今時そんな製品はほとんど無いので、Seasonicで容量少なめのSeasonic Gbronze S12II SS-520GBを選びました。
Roheisen3で使っていたSeasonic M12 SS-700HMを流用するという手もありましたが、既に2年半使っている電源をサーバーに流用するのは危険という判断で新品を調達しました。
調達費用 84,441円 107,439円 178,500円(流用のためサーバーとしては無料) 不明(流用のためサーバーとしては無料)
処理性能が4倍になった上に前回よりも安価に調達できました。
前回は省電力・省サイズにこだわってCore 2 Quad Q9000の調達に4万ほどかかったのがコスト高騰の主要因です。
長所
  • 処理性能が非常に高い
  • 消費電力が小さい
  • オンボード映像出力端子があるため、ビデオカード分の電力が節約できる
  • 比較的静穏で十分な冷却ファンを設置できる
  • 調達費用がこれまでで最も安い
  • LinuxなのでOSが無料
  • Linuxなので高性能なサーバーアプリケーションでも無料
  • 筺体が極めて小さい
  • 消費電力が極めて小さい
  • オンボード映像出力端子があるため、ビデオカード分の電力が節約できる
  • 高信頼性部品が揃っているのか、高温が続いても誤動作しない
  • Linuxなので高性能なサーバーアプリケーションでも無料
  • 退役したメインPCの流用なので調達費用が0
  • Windows OSなのでサーバーセットアップが簡単
  • 退役したメインPCの流用なので調達費用が0
  • Windows OSなのでサーバーセットアップが簡単
  • 冷却ファンが無いのにやけに熱耐性が高い
  • 防塵フィルタが無いのにやけに埃耐性が高い
短所
  • 一つ前と比べると筺体が随分大きい
  • 一つ前と比べると消費電力が大きい
  • Linuxを勉強しないとサーバー設定ができない
  • Linux Squeeze標準に該当イーサネットドライバが入っていないためセットアップが厄介
  • 無理に乗せたCore 2 Quadの発熱に排熱が追いつかず、筺体が常に熱い
  • Linuxを勉強しないとサーバー設定ができない
  • 負荷がかかった時の稼働音がうるさい
  • 冷却系を増設する余裕が全く無い
  • 性能の割に高い
  • 型落ちマシンなので演算能力が低い
  • Windowsなので長期安定性が不安
  • Windowsなので高性能なサーバーアプリケーションが有料
  • 消費電力が大きい
  • 稼働音がとてもうるさく、耳障り
  • 防塵フィルタが無く、埃耐性が低い
  • 冷却ファンを設置できる箇所がほとんど無い
  • オンボード映像出力端子が無いのでビデオカードを外せない
  • 型落ちマシンなので演算能力が低い
  • Windowsなので長期安定性が不安
  • Windowsなので高性能なサーバーアプリケーションが有料
  • 冷却ファンを設置できる箇所がほとんど無い
  • オンボード映像出力端子が無いのでビデオカードを外せない

ファイルサーバー

最後にファイルサーバーの更新についてです。こちらは実際には2011年4月の段階で入れ替えを行っています。名称は"Altstadt(アルトシュタット)[世代ナンバー]"としていますが、運用上の利便性から現役のものはナンバーを外し単に"Altstadt"としています。
ファイルサーバーは公開サーバーのデータストレージとしての役割の他、各開発用PCのデータストレージとしても機能します。今回公開サーバーをミドルタワーに戻しておきながらストレージを分けたままにしたのは、各開発用PCからのアクセス利便性を考慮した結果です。
ファイルサーバーとしては、初代、2代目ともにQNAPの中~上位モデルのNASを使用しています。これは高速、大容量、静穏、設定簡単、そこそこ信頼性ありというほぼパーフェクトな代物なのですが、それだけに少々値が張るのがネックです。
初代のAltstadt1(TS-509 Pro)は稼働開始から2年半が過ぎたあたりでHDD1の認識が怪しくなって新品HDDでもプラグアウトを繰り返すようになり、保証も切れていたのでどうしようかと思っていた折、丁度最新のTS-559 Pro+が格安で調達できる機会があったので代替わりとなりました。
2代目は現在安定稼働中ですが、実は初代もHDD2~HDD5の4台構成なら再フォーマット・RAID5再構成して以降全く問題なく動いていたりします。

ところでQNAPのハイエンド機種TS-879 Proが先日RAID0構成10GbpsiSCSI接続でR/Wとも500MB/s超えを記録したそうですね。流石はQNAPとオリオスペックと言わざるを得ません。

名称 Altstadt Altstadt1
外観 Altstadt Altstadt1
用途 2代目ファイルサーバー 初代ファイルサーバー
→HDD1認識不良
→予備役
ベース QNAP TS-559 Pro+ Turbo NAS QNAP TS-509 Pro Turbo NAS
OS Embedded Linux Embedded Linux
筐体 QNAP TS-559 Pro+ Turbo NAS標準 QNAP TS-509 Pro Turbo NAS標準
マザーボード QNAP TS-559 Pro+ Turbo NAS標準 QNAP TS-509 Pro Turbo NAS標準
CPU Intel Atom Dual-core Processor 1.8GHz Intel Intel Celeron Processor 1.6GHz
演算性能 不明 不明
メモリ 1GB DDRII RAM 1GB DDRII RAM
ストレージ HGST Deskstar 7K3000 HDS723030ALA640 (3TB SATA3 7200rpm) x5 Seagate Barracuda 7200.11 ST31500341AS (1.5TB SATA2 7200rpm) x5→x4
RAID総容量 RAID5 10.74TB RAID5 5.37TB→4.03TB
LAN onboard x2 (1Gbps) onboard x2 (1Gbps)
電源装置 250W電源 250W電源
最大消費電力 44W 63W
調達費用 非公開 約190,000円(HDD込み)
長所
  • HDD 5台でRAID構成可能
  • ホットスワップ対応
  • ファイルアクセスが509より更に高速
  • 509より更に省電力
  • 横に置いて安眠できるほど静穏
  • ブラウザ経由の設定インターフェイスがとても分かりやすい
  • 多人数で共用するのに極めて便利
  • HDD 5台でRAID構成可能
  • ホットスワップ対応
  • ファイルアクセスが高速
  • 省電力
  • 横に置いて安眠できるほど静穏
  • ブラウザ経由の設定インターフェイスがとても分かりやすい
  • 多人数で共用するのに極めて便利
短所
  • 演算能力が低いためwebサーバーに向かない
  • webサーバーとしては機能がやや不足
  • ファイルサーバーとして運用する場合、webサーバーに直接HDDを内蔵するのに比べるとファイルアクセスが遅い
  • 性能相応の高価な価格設定
  • 起動にやや時間がかかる
  • 演算能力が低いためwebサーバーに向かない
  • webサーバーとしては機能がやや不足
  • ファイルサーバーとして運用する場合、webサーバーに直接HDDを内蔵するのに比べるとファイルアクセスが遅い
  • 性能相応の高価な価格設定
  • 起動にやや時間がかかる
  • ホットスワップ対応なのにRAID再構築の際に再起動しなければならない場合が多い

松下製作所の制作環境に関する設定

以上がh2sの制作を行っている銑鉄計画(ローアイゼン・プロイェクト)の現環境なのですが、では作中の松下制作所の環境はというと、本業が同じ制作業でストーリーラインの開始が2010年7月ですので、概ねRoheisen3、eisen1、初代Altstadt(TS-509 Pro)と同等の環境となる模様です。
作者と同じ制作環境という設定は何だか微妙に手を抜かれた気がしなくもないですが、まあ実際これくらいの道具が揃っていれば私も仕事で不自由はしないのではないかと思います。そして同じ轍を踏みたくはないので、熱管理には気をつけることにしましょう。
カテゴリー: 制作環境 | タグ: , , , , , | 2件のコメント
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