おはようございます、松下です。
前回新PC Roheisen4でV-Ray GPUレンダリングが動かない、と書きましたが、その原因が判明しましたので報告いたします。
思い当たる節を一つ一つ確認してみたところ、Virtuのせいではなく、グラフィックカードとIntel HD Graphicsの併用のせいでもなく、GPU世代の混在が原因でもなく、QuadroとGeForceの混在が原因でもなく、最終的に単にQuadro CXの最新ドライバ275.89が駄目なだけでした。これを一つ前の267.66に入れ替えてみたところ、あっさりGPUレンダリングが走るようになり、それから他の条件も全部元通りにしましたが何の問題もありませんでした。
というわけで無事動くようになりましたので、各グラフィックカード、CPUを用いてレンダリング実行速度を記録してみました。
CPU/GPU | レンダリング時間 | 処理速度(※1) | 最大消費電力 | 処理速度/最大消費電力 |
---|---|---|---|---|
Core i7 920 | 140秒 | 714 | 130W | 5.49 |
Core i7 2600K | 119秒 | 840 | 95W | 8.85 |
Quadro CX | 88秒 | 1,136 | 150W | 7.58 |
GLADIAC GTX 285 (推測値)(※2) | 55秒 | 1,813 | 183W | 9.91 |
GLADIAC GTX 560 Ti | 41秒 | 2,439 | 170W | 14.35 |
Quadro CX + GLADIAC GTX 285 | 40秒 | 2,500 | 333W | 7.51 |
Quadro CX + GLADIAC GTX 560 Ti | 33秒 | 3,030 | 320W | 9.47 |
GLADIAC GTX 560 Ti x 2 (推測値)(※2) | 24秒 | 4,134 | 340W | 12.16 |
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※1 : 処理速度
処理速度はレンダリング時間の逆数となるため、
[処理速度] = 100,000 / [レンダリング時間]
として計算。10万というのは単に結果の桁数が丁度良くなるようにしたもの。 -
※2 : 推測値
[Quadro CX + GLADIAC GTX 560 Tiの処理速度] = ([Quadro CXの処理速度] + [GLADIAC GTX 560 Tiの処理速度]) x 0.848
となったため、デュアルGPUレンダリング時の処理速度は合計処理速度の84.8%程度になると仮定し、他の実測結果から算出したもの。
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CPUレンダリングの結果。3ds Max標準要素をサポートしているため、特に気をつける必要もなく問題のない結果が出る。
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GPUレンダリングの結果。非常に高速ではあるものの、ほとんどV-Rayネイティブのものしかレンダリングできず、条件に合致しないマテリアル要素などが抜け落ちる。影が粗いのは設定品質が低いせい。
結局のところ、現在
ただしレンダリングが速いとはいえ、GPUレンダリングにはV-Rayネイティブのエレメント以外はレンダリングに反映されない、VGAそれぞれのメモリにシーンデータが入りきらないとレンダリングできない、といった面倒な制約があります。そのため、設定を詰める手間を考慮するとCPUレンダリングを使った方が早いという場合もあります。
また、今回のレンダリング結果の影のあたりを見るとGPUレンダリングの方が大分粗いので、同等の品質になるように調整した場合はもっと差が縮まるものと思われます。
Core i7 920とCore i7 2600Kで大した差が出てない点については、Core i7 920の環境ではメモリがトリプルチャネル動作でPC3-10600 x 3 = PC3-31800相当であったのに対し、Core i7 2600Kではデュアルチャネル動作でPC3-12800 x 2 = PC3-25600相当となっているところが少なからずボトルネックになっているのではないかと推察されます。
調達価格が20万円近いQuadro CXの処理速度スコアが同世代のGLADIAC GTX 285と比べても振るわない件については、やや残念感がありますが、そもそもQuadroというのはCuda/OpenCL処理に最適化されたものではなく、OpenGLインターフェイスの動作を正確に行うためのものですので、この結果も致し方なしと言ったところです。むしろそこを補う役目も兼ねてGLADIAC GTX 285を併設していたので、それでスコアが倍以上になれば意図通りであるとも言えます。
なお、以前VRay 1.5の時にCore i7 920で同じメモリを搭載して同一内容のレンダリングを行った際、現在の140秒よりも大分早い80秒という記録が出ているのですが、これが3ds MaxやV-Rayのバージョンの違いによるものなのか、一部テンプレート画像の欠落に起因する余分なエラー訂正によるものなのか、或いは2年前の測定後にレンダリング品質設定を変更したのをすっかり忘れているのか、判然としていません。
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