お昼時ですね。こんにちは、松下です。
前提として必要なもののレビューがあらかた終わりましたので、通算記事投稿10回目の今回は、そろそろ他方面にも触れてみようと思います。
というわけで今回レビュー対象にいたしますのは、AXISの18禁TSFゲーム、「くるくるくーる」です。
何、聞いたことがない?
やだなあ、だからこそレビューするんじゃないですか。
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基本情報
作品概要 | |||||||||||||
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作品名 | くるくるくーる | ||||||||||||
著作 | AXIS | ||||||||||||
販売元 | AXIS | ||||||||||||
レーベル | AXIS | ||||||||||||
作品形式 | ゲーム、恋愛ゲーム、アドベンチャーゲーム | ||||||||||||
流通形態 | 商業、現物販売、ダウンロード販売 | ||||||||||||
原画 | わつき るみ、丞清(小物原画) | ||||||||||||
シナリオ | 陽光、癖毛爆男 | ||||||||||||
音楽 | 飯塚博 | ||||||||||||
出演 |
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初出 | 2009年6月26日 | ||||||||||||
対象年齢 | 18歳以上対象 | ||||||||||||
TSF要素概要 | |||||||||||||
TSキャラの役 | 主人公、主人公の恋人、レギュラー | ||||||||||||
変化の方向 | 女性化、男性化 | ||||||||||||
変化の方法 | 単体変化 | ||||||||||||
変化の持続性 | 任意可逆 | ||||||||||||
変化後の人格 | 元のまま | ||||||||||||
視点 | 同一型、対面型 | ||||||||||||
組み合わせ | 身体的異性、身体的百合 | ||||||||||||
復元願望 | 中庸 | ||||||||||||
性的要素概要 | |||||||||||||
状況 | 自慰、痴漢、強姦、多人数責め、多点責め、多穴責め、泥酔、着衣、露出、処女貫通、結婚 | ||||||||||||
行為 | 抱きつき、接吻、フェラチオ、乳揉み、乳吸い、尻揉み、陰核責め、手淫、ノーマルセックス、アナルファック、中出し、ぶっかけ | ||||||||||||
体位 | 正常位、密着正常位、屈曲位、後背位、対面女性上位、背面女性上位、対面立位、背面立位、駅弁、対面座位、背面座位、側位、交差位、69 | ||||||||||||
器具 | シャワー、バイブレータ | ||||||||||||
衣装 | 全裸、半裸、下着、水着、セパレート水着、二ーソックス、学生服、メイド服 | ||||||||||||
演出 | 断面図、淫語 | ||||||||||||
性対象概要 | |||||||||||||
種別 | 人間 | ||||||||||||
性別 | 女、TS | ||||||||||||
立場 | 赤の他人、クラスメイト、友達、家庭教師、生徒 | ||||||||||||
容姿年齢 | 幼い、若い | ||||||||||||
背丈 | 低身長 | ||||||||||||
体型 | 標準 | ||||||||||||
胸 | 美乳 | ||||||||||||
尻 | 美尻 | ||||||||||||
陰毛 | なし | ||||||||||||
無駄毛 | なし | ||||||||||||
人格 | ノーマル、素直、意志薄弱 | ||||||||||||
経験 | 処女 | ||||||||||||
相手概要 | |||||||||||||
種別 | 人間 | ||||||||||||
性別 | 男、女、TS | ||||||||||||
名前 | あり、なし | ||||||||||||
顔 | あり、なし | ||||||||||||
容貌 | 美形、男前 | ||||||||||||
人格 | ノーマル、男前、豪快、たおやか、素直、大人っぽい、快活、冷静、地味、温和 | ||||||||||||
経験 | 童貞、非童貞 |
物語概要
ある日、特科研に呼び出された
キャラの個性は十分
まず主人公である
小柄な上に優柔不断で流されやすいユキは涙目の表情パターンが多用されているせいもあって小動物的な可愛らしさがあり、元々一人称が「僕」だったせいで見事なボクっ娘が誕生しています。更に学園の人気者になってファンクラブが結成されてしまい、TS娘さんのモテ描写が大好きな私は大喜びでございます。声の演技もぴったりはまっており、ユキというキャラをはっきり確立しています。
ただまあ、性転換前の雪光については割とどうでもいいです。
次に雪光の親友で、鷹栖財閥の御曹司三男、
銀聖は学生でありながら結構な経営手腕があり、きららの研究をバックアップしつつ、パテント管理も行っている、出来る男です。性転換後間もなくに言い放った「男だの女だので俺の
本人曰く、異性愛者であるらしく、男であるときはユキが好き、女であるときは雪光が好きになります。
彼が悪意なく雪光/ユキをおちょくる様はなかなか愉快で、コメディパートの要になっています。
ちなみに長男の名前が
養護教諭にして雪光のクラスの臨時担任を務める
先生が性転換対象に入ってるのは珍しい気がしますが、唯一の大人だけあって、明るく快活で人当たりが良く、大人ならではの余裕や包容力を感じさせてくれるナイスキャラです。
同性愛者という噂がありましたが、実際のところ自身が女でも男でも変わらず女の子が好きな模様です。
女性時に最も胸が大きいのは設定、描写ともにこの人で、その様はメロンにも喩えられています。
雪光の幼馴染の自称マッドサイエンティスト、学生発明家の
既存の学問が全く通用しないタイプの天才少女で、発明品を解析するために鷹栖財閥で専用の研究チームが組まれているほどです。発明品の動作原理が既存の学問で容易に説明できる類のものでないだけあり、学校の勉強は却って苦手とのこと。
その自分勝手で我儘で傍若無人な性格、やろうと思えば大概何でも出来てしまうチートぶりから、公式にラスボス扱いされています。実際、攻略の順番も最後になります。
性転換装置を作った張本人であり、味方につければ心強く、キャラ自体は決して悪くないんですが、幼少時の雪光との約束のせいもあって結構嫉妬深いため、他のキャラの攻略中だと割と邪魔です。
以前から密かに雪光を慕っていて、雪光の性転換事件をきっかけに仲良くなりますが、いかんせん奥手のため、攻略が進むまで有り得ないほど健全な関係が続きます。
ちょっと喋り方が独特で、若干違和感を感じるかもしれません。
表情パターンのせいで、どちらかというと男の状態の方が可愛く、ユキとサヤカでカップル成立すると両方可愛くてほのぼの気分になります。
私は男性化は苦手な部類ですが、幸いなことに本作品では女性キャラが男性化してもあんまりオカマっぽくはなく、ユキの相手を十分にこなしてくれます。
また、全女性キャラの中で一番可愛いのはやはり主人公のユキだと思いますので、TSFとして最重要のポイントを本作はきちんとクリアしていると思います。ユキが本当に可愛いというその一点については心の底から大いに賞賛したい。
なお、本作ではキャラが男の状態の台詞には音声が収録されていないのですが、くるくる講座第2回に書いてあります通り、初期プランでは男の声も入れる予定だったものの、シナリオの量が当初の予定より大幅に膨れ上がってしまったために、予算の都合上男の声は削らざるを得なかったそうです。仕方ないね。
やるべきことをやり尽くしたマルチシナリオ
本作品では、旭川きらら発明による性転換装置のお陰でほぼリスクなしで瞬時に性転換するせいもあり、主人公である国後雪光のみならず、主要人物5人がかわるがわる性転換します。そういった様が「くるくるくーる」なのだそうで。CROWDの魔王ファンディスク、「魔王を攻略する、666の方法」でも全員性転換ネタはやっていますが、時期的にはこちらの方が先です。
また、全員が性転換するため、エンディングは雪光×女4人それぞれ、ユキ×男4人それぞれ、更に雪光×女全員、ユキ×男全員、付け加えてバッドエンド2種類で合計12種類あります。もうエンディングに関してはほぼ全てやり尽くしていると言えるでしょう。
なお、旭川きららの発明を中心として一見無茶な話の展開に見えますが、発明品の原理はさておき、話の辻褄は投げっぱなしというわけでもなく、割と合っています。
ところでこの作品では攻略対象キャラの個別攻略シナリオの初めと幕間で唐突に「アイキャッチ」という小劇場が始まり、本編と何ら関係のない寸劇が繰り広げられます。
それが面白いかどうかは見てのお楽しみというほかありませんが(※キャラによってコンセプトが全く違うため)、個人的には銀聖シナリオの「三年乙組・銀八先生」がキャラにマッチしてて面白かったです。何、タイトルが週刊少年ジャンプの番外のアレと同じですって? 大丈夫、タイトルどころかノリやオチのパターンも大体一緒ですから。
結構な親切設計の攻略補助システム
本作品には「ユキナビ」というフラグ管理システムがあり、どのキャラのフラグを幾つ立てたか、サブイベントをどれだけこなしたか、というのが一発で分かるようになっています。このため、途中からやり直した場合も進行具合が一発で分かり、なかなか便利です。
更にエンディング後に「座談会」というおまけコーナーがあり、まだ見ていないエンディングに辿り着くにはどうすればいいかというアドバイスをもらえます。親切設計です。
絵柄は良いものの、不安定
原画担当のわつき るみさんの絵柄はなかなかこの作品の作風に合っていて、どたばたコメディの明るさ、ポップさを醸し出しながらキャラの魅力も十分表現できています。立ち絵や一枚絵のみならず、ちょくちょく出てくるちびキャラも可愛くできています。
ただ全編通して絵が安定しているかというと、そうでもないと言わざるを得ません。
本作品の文章中、特に序盤ではユキの胸がでかいでかいと周りが騒ぎざわめくのですが、立ち絵のユキの胸はむしろ他のキャラより小さいです。服装により大きさは違って見えますが、やっぱり精々普通程度にしか見えず、他のキャラの胸の大きさを下回っています。これが一枚絵になると結構大きめに描かれているのですが、それでも他のキャラと同じくらいです。
要するに立ち絵を作る時点でシナリオ担当と原画担当の間で全くコンセンサスが取れていなかったのではないかと思うわけです。
また、一番頻繁に見ることになるユキの立ち絵のいわゆる「ガルウィング」が斜め方向に重力を無視してまっすぐ伸びていて、針金が入ってるように見えるのはどうかと思いました。
一方で表情パターンがあまり多くはないせいか、ユキが困ると簡単に涙目になってしまうんですが、これは怪我の功名というか、ユキの特性を象徴しているようでもあり、逆により一層可愛く見えます。
あと、キャラの距離を表現するためにサイズを変えて表示することがあるんですが、元々横一列に並んでたのに無理に遠近法を組み込んでも自然になるわけがなく、たまにレイヤーの順序を間違っていることもあって、結果はご覧の有様(→右図)です。
もう一点、塗りの問題で気にかかることがあります。あのいわゆる「水」、H2O、一酸化二水素、DHMOなんですが、これがいわゆる水色、ギンギンの高彩度シアンで描かれています。いや、水色って名前を額面通りに受け取りすぎだろう、と思うのですが、一枚絵において水、涙、大粒の汗などの殆どが高彩度シアンで塗られており、チェレンコフ放射光でも見ているような錯覚にとらわれます。
この傾向はこの作品だけのものではないようで、AXIS最新作「究極魔法少女 絶対☆姉貴」でも透明物を高彩度シアンで塗る伝統が続いているようです。
音楽自体は良いものの
くるくるくーるの音楽は決して悪くありません。歌が2曲入っており、オープニングの「ぶっちぎりシューティングスター」は明るく勢いがあっていい感じの景気づけになってますし、エンディングの「カタオモイ予報」はしんみりとしたいい歌です。
ただ、一部の曲の使いどころが問題です。
例えば銀聖のテーマ(タイトルは「鷹栖銀聖の世界」)はアコースティックギターメインのフラメンコのような曲で、キャラには合っています。しかしこれがゲーム開始直後、ユキの初性転換シーンでかかるのが問題です。いきなり決闘でも始まるのかと思いました。やはりこれも開発各担当の連携がうまくいってなかったせいではないかと思ってしまいます。
誤字・脱字が異常に多い
本作品のシナリオは結構面白いです。ボリュームもかなり多く、納期ギリギリまで頑張って要素を詰め込んだような形跡が見られます。
それ自体は大変ありがたいのですが、問題は仮完成後のチェックや訂正が行きとどいていないことで、序盤は気にならないのですが、後半シーンの中には恐らく全くチェックが入っていないシーンが多数あり、そういったところでは10~20クリックに一度くらいの頻度で誤字・脱字・怪しい日本語があります。
こういったミスも少しくらいならゲームの中身優先でいいのですが、多すぎるとゲームへの集中を妨げますので、やはりボリュームと完成度のバランスは軽視できませんね。
あからさまなCROWDリスペクト
本作品の本編中やおまけシナリオで、「北の雲は実にいいものだ」と絶賛する唐突な展開が何回かあります。本編の流れには全く関係ないので聞き流してしまってもいいんですが、これは北海道に本社を構えるCROWDのことです。
登場人物の苗字も徹底していて、国後、鷹栖、歌登、旭川、日高と、全て北海道の地名に由来しています。
また、本作品ではCROWDリスペクトの一環としてXchangeシリーズ名物の痴漢バスイベントがあるのですが、本家の無印Xchange三部作で各1回の合計3回だったものを、くるくるくーるでは一作で6回やらかしてます。どんだけCROWD好きなんですかAXIS。いや私も大概好きですけど。
総評
シナリオがコメディタッチで鬱進行が全くなく、展開も充実していて、キャラの魅力も十分以上です。攻略補助システムも気が効いており、そういった面では気分よくプレイできるでしょう。
惜しむらくは色々な面で出来が非常に粗いということで、見過ごせるレベルではなかったので評価から引かざるを得ません。
以上を踏まえまして、以下の評点を奉納いたします。
あれだけのマイナス込みでこの点数ですから、出来の粗さが無かったら世界を征服するための、3つの方法に並んだかもしれない、非常に惜しい作品です。しかし個人的にはそれでも大当たりだと思っています。
例によってDLSite.comあたりで廉価ダウンロード販売してますので、気になったら買っても損はないと思います。
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